ジリリリリリリリ・・・ジリリカシャン
目覚し時計の音で目が覚めた。ここに来てから二度目の朝か。私はベッドから出てカーテンを 開けた。朝日を浴びて目が覚める。
クローゼットから学生服に着替えて部屋を出た。サキュバスの方が先に目が覚めた用で、トー ストをくわていながら鏡に向かい髪のセットをしている。
「おはようサキュバス、それは少し行儀が悪いぞ」
「ほはよー……兄様、なんだかそれお父さんっぽいよ」
余計なお世話だ、皿に置かれているトーストを食べながら考えた。お父さんぽいってことは… オヤジ、いやうちの父さんはの場合だから爺くさいという事なのか、深く考えないでおこう。
7時半か、そろそろ行かなくては間に合わないな。学校には8時までには行かなくてはならない。
「サキュバス、私は先に行くが、ちゃんと鍵は架けとけよ」
「大丈夫大丈夫、それじゃ、いってらっしゃーい」

学校への道筋には困らなかった。先日は地図を持ちながらうろうろしていたが、一回で道を 覚えれた。何か特別な印象でも……あったか。
たしかブリジットという先生だったかな、あれで先生、いやそれ以前に男とは、またっく世 界とは広いものだ。
学校の近くか、同じ制服がちょくちょくと見かけてきた、友達に声をかける者が多い。
「おいそこの奴、ここら辺じゃ見ない顔だな、何者だ」
いきなりなんなんだこいつは、逆毛、銀髪、これが金色だったら某マンガの○ーパーサ○ヤ 人だな、それに学ランには胸のところに『忍』と入れてある。
「トゥレイトゥレイトゥレイ」
五月蝿い奴だな、どうもこういう奴には慣れにくい。ちょうどブロック塀あるので、ディガ ーループでも入れてやろうと思った。しかし鎌を取り出そうと思った時だった。隣から巨大 な影が現れた。こいつは人間なのか?と思わせるほどの体型で、そのあからさまにデカイ手 で奴を掴んだ。
「ポチョムキンッッッ」
飛んだ、どこまでも高く、そして落ちてきた。
「バスターーー!!!」
「シッショー」
なんて技なんだ、背骨が折れてもいい位の威力だ。その巨体は狩で獲物を肩に担いだ猟師の ようにそいつを持っている、くらったあいつは泡を吹き白目を向きながら気絶している。
「すまんな、こいつが迷惑をかけてしまって」
「いや、もう気にはしていない」
「そうかよかった、失礼する」
その巨体はのしのしと歩いて行った、一歩一歩にかなりの重量感が感じられる。それに感ず いた生徒、一般人は道を空けていく、決して悪い奴じゃなさそうだが、無理も無い。
なぜか私は呆然とそれを見てた。いつしか、周りには誰もいなかった。時間を見るともう8 時5分前、どれだけの時間ボーッとしていたのか、走らなければもう間に合わない。
「くそ、こんなはずじゃなかったのに」
全力で走り、なんとか時間には間に合った、校内のガイドのような物を見て職員室の場所は 分かった、すでに担任も知っているので探す手間も省けた。
「先生おはようございます」
「あ、おはようテスタメント君、それじゃ行きましょうか」
ブリジットの後をついていきテスタメントは教室へと向かう。まだどこの教室も騒がしいく 、その中で特に騒がしい、というほど騒がしくはないが、その教室に入った。私は廊下で待 機するようにと命じられた。
「はいはーい、皆静かにしてー」
ブリジットの集合合図で騒ぎのほとんどが治まった。これほど生徒の一気に静かにできる教 師は珍しいだろう。
「今日は転校生を紹介しますよー、ちなみに男の子ですから」
質問する前にその質問の答えを答えられた生徒がガクッと肩を落とす。
「それじゃ、テスタメント君入ってきてください、そして自己紹介してください」
やけに変な区切りでまとめてくる話方だ、そんなことを思いながら教団の前に立った。登校 中に会ったあのでかいのがいた。その隣の席には誰も座っていない。多分アレをくらった奴 だな。
黒板には名前と住み場所などが書かれていた。
「テスタメントといいます、小さい頃ここら辺に住んでいたので、ここに戻ってきた事にな りす今は■区の▲番地の端っこに住んでです。よろしくお願いします」
簡単にすます。
「はい、ありがとうございました、何か質問とかありますか」
趣味など、いろいろと聞かれたがなんとか通した、好きな女の子のタイプと聞かれた時は、 何も答えずに終わった。
その後に先生から指示を受け席についた。窓側で日が丁度当たって寝たくなりそうである。 先生の勝手で1間目は自習、いいのかそんなことで、周りの反応を見るとたいした事はで は無いようだ。
やけに視線を感じる。ほかにも沢山の視線を感じるがそれだけが妙によく感じる。その張本 人が近づいてきて話してきた。
青くて長い髪女性だ。黄色のリボンで髪を左右で輪を結んでいる少し不思議な髪型だ。
「急にスミマセンが、もしかして昔、◆番地の公園の近くに住んでいませんでしたか」
あ、とその女性言われて思い出した。確かに小さい頃その辺に住んでいた覚えがある。
「よかった、じゃあ私の事覚えていますか、よくその公園で遊んでいた」
言われるたびに思い出せてくる。目をつぶればその光景が浮かび上がってくる。泥まみれに なってよく父さんに怒られたな。たしかサキュバスは体が弱かったから入院が多かったな。 今ではないが。と、思い出に浸っている場合じゃない。さっきから首をかしげてこちら見て いる。が、どうしても名前が思い出せない。久々に悔やんだ。
「ディズィーですよ、でも覚えてる私の方が変なんですけど、10年前ですし」
思い出せた。でも10年前のことなんてそんなに思い出せる事ではない。
「ああ、久しぶりだな。しかしよく覚えてたな」
「はい、私一人っ子なので、テスタメントさんは兄さんみたいな存在でしたから」
久々の再会だ、でもこの再会のしかたはどこぞかの恋愛ゲームのような展開に近いものだと 思うのは気のせいなのか。いやむしろそうだろ、作者。
かってに作者という単語を出さないでください。
「ディズィー、この転校生と知り合いなの」
ディズィーの後ろから小さい子が出てきた。ブリジット先生と同じぐらいの身長だ。
「はい、小学校の頃の知り合いです」
「そうなんだ、僕メイって言うんだ、よろしくね〜テスタメント」
「よろしく、メイ」
「おやおや、転校早々両手に華ですかテスタ君」
いきなりとんでも無い事をいう奴だ。ディズィーはとまどっているがメイは指を指して怒っ ている。金髪でバンダナをしている。
「いや〜冗談冗談、俺はアクセル、よろしくー」
ずいぶんと明るいやつだ、まぁ嫌いというわけではないが少し苦手なぐらいで慣れれば問題 は無い。さっきの問題発言のようなのは勘弁して欲しい。
自習、思った通りだ、思いっきり皆のびのびとしている。実習内容が黒板に書かれてなけれ ば自習用のプリントも無く、それを持ってくる先生もいない。
「あの〜兄さん」
隣から聞こえた。ディズィーは隣の席なのか。
「今日この学校設立記念日で午前中だけで終わりなんです」
「それで、一体」
「なので放課後兄さんの家に行ってもいいですか」
何がくると思ったらこれか。いきなりの自宅訪問はないだろ、これは狙った行動か、それと もただ単に…天然、と言っていいものなのか、どっちだディズィー。しかし来るのは別に構 わない。それを話した。
「じゃあ行ってもいいこと、ですね」
今の一瞬間合い、なぜそこで顔を赤く染める。
「そんじゃ俺も行こうかなー」
「僕も行く」
アクセルとメイも続く。
チャイムが鳴り一時間目が終わる、といっても先生がいないのであまり自習と変わった気が しない。
眠くなってきた。窓からか入ってくる日差しが丁度良い感じの暖かさにしてくる。転校初日 に寝るのはさすがに嫌だ。しかしあくびが出てくる。声には出してないが結構長い時間だ。 しかしチャイムの音で目が覚めた。寝てしまったのか。
次の時間は、英語か。
「はーい皆席ついてねー」
英語の担当はブリジットか。
見た目によらずやはり教師だ。英語力が半端じゃないほど上手い。それに上手く生徒のペース に合わせている。教師としてはプロだ。『人間、見た目によるものではない』と脳裏に浮かん だ。
時間も経ち、授業も終わる。意外と静かなまま終わった。
「さーて、このまま帰りのHRを済ませますか」
2時間で終了なのか、てっきり4時間で終わると思ったのだが、でも早く帰れるだけ嬉しい。
「近頃ここ付近でセーラー服を着た40代近くのおじさんが現れるので注意してください」
どんな奴なんだ。絶対に見たくないな。隣でディズィーが震えている。
「それじゃ、これで終わり、解散」
ガタガタと席を立つ音が聞こえる。
「よし、じゃあ行くとしますか」
後ろからアクセルが話してきた。隣にはメイもいる。三人ともこのまま来るつもりだ。一旦帰 ろうという意思が全く見えない。帰りにスーパーで食事の材料を買おうとしたのだが…しかた ない、手伝ってもらおう。
鞄を持ち、私達は教室を出た。

弐話に続くよ。



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