未確認生物が校内に入ったのでそれを探せ…以上


「それでは私とソルが体育館側を…ってソル、何所へ行くんですか」
「そんなめんどくさい事いちいち聞いてられるか」
勝手に探しに行ったソルを追ってカイも行ってしまった。
走り去るソルにカイは必死に追いかけている。
「カイちゃんは旦那の事になると見境なくなるかな〜」
「連れ戻さなくていいのか?」
「大丈夫大丈夫、良くある事だから、それにアレでも依頼は成功させてるし」
それなら問題ないのだが、やはり少し心配してしまう。
「僕達も早く行こうよ」
「そうね、私たちも自由に探しましょう」
『さんせー』
ディズィーは勝手み私につきて来た。理由を聞いてみると。
「兄さんが迷子になりそう」
私はもうここに来て1週間が経つぞ…いくらなんでもそれは無いだろ。
「だってほら、見つけたとき2人の方が捕まえやすいでしょ」
それも一理あるが、そっちだけを言って欲しかった。
「さて、どこから探したらいいのか」
「食堂じゃないでしょうか、あそこならいい匂いがいして絶対いくと思います」
「そうだな、あてずっぽに探すよりはいいか」
私達は食堂へ向かって行った。途中、ディズィーお腹がぐぅ〜と鳴いていたのが非常に気になる、が今はどうでもいい。
ガラ、と食堂のドアを開ける中には誰も居ない。見回すと厨房の扉が小さく開いている。
真っ先にディズィーが飛び込んで行こうとしたが、襟を掴んで止めた。
「なにするんですか」
ディズィーはは首を掴まれたネコのようにジタバタと暴れている。
「もし居たとしろ、そんな音を立てたらビックリするだろ」
「そ、そうですね」
苦笑をしながらこちらを向いてくる。
「よし、行くぞ」
ゆっくりと近づき、厨房に入ろうとすると。
ガシャーン
何かの落ちる音が聞こえた。
それと同時にディズィーのお腹がまた鳴いたが、テスタメントは気付いてはいなく、ディズィーはほっとしている
厨房を覗いてみると、大型の冷蔵庫が大きく開いている。
「ほら、私の言った通り、早く捕まえましょうよ」
ボソッと耳元で話してきた。
「慌てるな、それで逃がしたら何の意味も無いぞ」
テーブルにより冷蔵庫の下のほうが見れないが通路は一つ、ディズィーと挟み撃ちができる。
「いいかディズィー、1、2の3で行くぞ」
「はい」
奥行きに彼女を行かせ、私が正面から向かう。
お互い、心の準備が出来たところで合図を送る、これで準備はOKだ
「いくぞ、1…2の3」
3、と同時に二人はそこにイタモノを挟み撃ちにしたが。
・・・
「アクセルさん!メイちゃん!なにやってるんですか」
何も言わず逃げようとするアクセルとメイ。
しかし挟み撃ちにあっている二人はいとも簡単に捕まり、その場正座をさせられた。
悲しくも理由は予想通りに空腹が原因だ。
「今は任務中ですよ」
やけにディズィーの怒りには気合が入っている。

説教のようなものが始まってから5分が経とうとしている。
「ディズィーそろそろ探しに行くぞ」
彼女に近づこうとした時、天井から何か塊のような物が降ってきた。
べちゃ
・・・命中
「ひ、何ですかこれ、取って、取ってください、あぁぁ〜何かぬくい」
頭に変に生暖かいものが乗りディズィーはパニックになり辺り構わず暴れてしまい、その衝撃でアクセルの首を蹴ってしまった。
ゴキュィッ
「ごぶぅ」
アクセル気絶し床に倒れた、それに変な音も聞こえたぞ
異様な形をしたモノは地面をはいずる感じで頭から背中の方へ移動を開始した。
これが今回の標的だな、と確信した。
紫色で、ひらぺったいサイの顔のような形をしている。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
彼女の悲鳴が厨房に響く。
「ディズィー!」
とっさにメイが座ったままの姿勢からジャンプしてそれを両手で掴む。
ナイスキャッチ、メイはそのまま地面にべたっと落ちて、取ったモノをラグビーのトライのように床に叩きつけてしまった。
「わわわ、これどうしよう」
トライされたモノはコブを作りピクピクと動き気絶していた。少々荒いが、捕まえれたので良いとしよう。
「ひとまずは一件落着だな、メイよくやったぞ」
「う、うん…あははさっすが撲!」
自身満々にメイは笑っている。
「あの〜アクセルさんがピクリとも動かないのですが」
一大事だ。
急いでアクセルを保健室に持っていった。
事件も終わり、私達は部室に戻っていた。
アクセルは保健室で回復を待っている。

「これですか、今回の事件の元は」
気絶したモノを中心に輪を作り、これをどうするか決めている。
「それより、この生き物は何」
ミリアが言う、確かに一体この生き物はなんなんだ。
「しかし、この目隠しのような飾り、以前誰かに飼われていたのでは」
飾りはすでに傷だらけ、全く手入れされていないことからカイはこの発言をした。
「それじゃこの子、捨てられたのですか」
「そうなりますね」
全員が悩み続けている間この生き物がぴくりと動き、意識を取り戻した。
ガウガウガウ
いきなり吠え警戒された、まぁ無理も無いか仕方ない事だ。
「大丈夫ですよ、私達はあなたに危害をくわえたりしません」
まずカイが前に出た。
ゆっくりと近づき、何とか和ませようとそっと手を伸ばした。
ガブッ
「痛い痛い痛い」
結局噛まれて終了。またそいつは唸り始めた。
しかし、私の方を向いた瞬間いきなりピタっとそいつの動きは止め、ゆっくりと私の方に近づいてくる。
そして、足にほおずりをし始めた。
「兄さん、それは、その」
「こいつ、テスタに懐きやがったぞ」
「何か似たようなものを感じたのかしら」
「僕はあまり懐かれたくないな〜」
「私には噛み付いたくせに」
「ガーウガーウ」
「よし、じゃあテスタ、そいつ飼え」
今、ジョニー先生がさり気にとんでも無い事を言った様な気がしたが
いや、言ったようなじゃない、言っただ。
「そいつはいい考えだ」
「たしかに、保健所などで処分されるよりかはずっといい出すね」
「いい考えね、それ」
「僕さんせー」
「兄さん頑張ってください」
「貴様ら好き勝手言いやがって」
「別にいいだろ、飼っても、ほら、こんなに懐いてることだし」
全員して言いたほうだい言いやがって。
下を見ると、こいつは私の周りほぐるぐると回っている。
本当に懐かれたようだ。
「よーし、問題も解決した事だし、今日はこれにて解散だ」
私の問題は解決していないのだが…。
ガラ
解散と同時に扉が開いた。
入ってきたのは3m近くはあろうとする人間…人間?がいた、紙袋も被っている。
「おや、見かけない子がいますね、この生徒は」
「ああ、こいつは先週転校してきたテスタメントだ」
「そうですか、私は保険医のファウストと申します、以後よろしくおねがいます」
「はぁ、こちらこそ、しかし保険医がなぜ現れるのですか」
「おお、忘れかけてました」
いい加減だなおぃ
「アクセルさんが異様な重態のために病院で入院をすることになりました」
…あの蹴りか、横を向いてみると、ディズィーの顔が少し青ざめている。
パニックになったとはいえ、首に蹴りを入れてしまったのだから。
あとその事を知っているのはとメイだけだ。
他に人には転んだ拍子にどこかにぶつけたと報告してある。
今回の一番の被害者は、アクセルかもしれない。

解散後、私はコイツを抱えながら帰宅している。
知らないうちにコイツはぐうぐうと寝ている。
「寝ちゃったね、この子」
寝たコイツをディズィーはつんつんと指でつっついている。
「兄さん、この子の名前って決めました?」
「名前か、全然考えていない」
実際これにはどんな名前をつければいいんだ
犬でもないしネコでもない。うかつにぺスやタマなどとは呼べないぞ。
早かれ遅かれ、名前だけはちゃんと付けておかないとな。
「……エグゼ」
擦れ擦れで首輪にそう削られている。文字の間には隙間があり、本来ならもっと長い名だっただろう
「エグゼですか、いい名前ですね、今日からこれがあなたの名前です、エグゼちゃん」
「この飾りも、綺麗にしてやるか」
古びた飾りに手を当てた、布の部分は所々の糸がほつれ、金属の部分は傷も含め、ザラザラだ。
寝ているエグゼを撫でていると、いつの間にか家の前まで来ていた。
ディズィーと別れ、と言っても向かい側だしな、私がこれを知ったのは二日前だ。
本来なら一週間前に知っているはずだが、あの時寝ていたしな。


まずはコイツの体を洗うことにした。
洗っている最中に暴れなかったのが救いだ、余計な疲れが出ないからな。
体も洗い終わり、一休みをしようとした時、エグゼが足者をうろついている。
どうやらお腹がすいているようだ、食堂の厨房にいたことだしな
そしてここで大きな問題が起こった。
エグゼは一体何を食べるのか。
ハムスターみたいな雑食がいいなーと考えている所。
ピンポーン
呼鈴が鳴り、一端そっちに行く事にした。
「にいさーん」
「ディズィーか、どうした」
「少しですけどエグゼのご飯持ってきたんです。それにもっとエグゼ見てたいですから」
エグゼを見たいか、それよりもその手にあるドッグフードが一番気になる。
本人談犬に近い生き物だ、と試してみる価値はあるか。
とりあえずトレイにドッグフードを入れ、出してみる。
「食べるかな〜」
こういう時はなぜか緊張してしまう。
エグゼはフードの入ったトレイを覗き始めた。
初めて見るものらしく、鼻があるらしき場所で匂いを嗅いでいる。
・・・カリ
「あ、食べました」
小さく喜ぶディズィー、エグゼはそれからドッグフードをどんどん食べていく。
どうやらコレを気に入ったようだ。
「さて、買ってくるか、お前はどうする」
「私、エグゼと留守番してます、まだ目は離しちゃいけないと思いますから」
どうやらディズイーはエグゼの事を凄く気に入っているようだ。
エグゼも彼女のことを気に入っている。
それに安心したテスタメントは、買物に出かけた。念のため鍵はかった。
ふと、テスタメント思った。
(ここら辺にペット用品が売っている所はあるのか)
嫌な予感がした。
手始めによく行っているスーパーに行ってみる。
ぺット用品は…あった。しかしここにあるは値段の高い缶詰だけだ。正直手が出せない。
結局人に聞き、3キロ先のペットショップに行くことになった。
「餌が無くなる度にこの道か」
痛感した。

鍵が開いている、玄関を開けると靴が1足増えている。サキュバスが帰って来たみたいだ。
「ただいま」
・・・返事は無い、何があったのかは分らない、ひとまずリビングのドアを開ける。
そこでテスタメントは目にした。
カーペットに横になっているディズィー、サキュバスがエグゼを間に挟み抱いて寝ていた。
よかった、この様子だとサキュバスもエグゼのことを気に入っているようだ。
「起こすもの可哀想だな」
軽く笑みをうかべテスタは、タオルケットを二人と一匹の上に被せた。

伍話辺りに続いたりします。
きまぐれあとがき


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